2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒメツリガネゴケにおけるアラビノガラクタンタンパク質遺伝子郡の機能解析
Project/Area Number |
04F04723
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Host Researcher |
田中 重雄 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授
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Foreign Research Fellow |
LEE Kieran 東京農業大学, 応用生物科学部, 外国人特別研究員
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Keywords | アラビノガラクタンタンパク質 / 遺伝子ターゲティング / 細胞壁 / 先端成長 / ヒメツリガネゴケ / ファシクリンドメイン / GPIアンカー |
Research Abstract |
本研究では、アラビノガラクタンタンパク質(AGP)として知られる細胞表層に局在する糖タンパク質の機能解析を目的としている。AGPはニンジンの不定胚形成や仮導管分化の制御因子として知られ、高等植物における発生・分化において様々な機能を果たしていることが示されているが、その分子機能は不明なままである。コケ植物であるヒメツリガネゴケは、サイズが小さく、培養が容易であり、細胞分化や形態形成といった細胞レベルの変化を直接観察できる。さらに近年、相同組換えによる遺伝子ターゲティングを用いた解析が可能な唯一の植物として注目を浴びている。本研究では、ヒメツリガネゴケにおけるAGP遺伝子群の機能解析を通じ、その植物における役割を明らかにすることを目的としている。βGlcYを用いたヒメツリガネゴケAGPの精製を行い、そのアミノ酸配列を同定した。その配列を用いてヒメツリガネゴケESTデータベースを再検索した結果、新たなAGP遺伝子群を同定し、PpAGP2およびPpAGP6と命名した。このうちPpAGP6は銅結合モチーフを有しており、今まで報告されている植物由来のAGP遺伝子には無いタイプの遺伝子であることが明らかとなった。得られたPpAGP遺伝子群の配列からプライマーを作製し、Roche社のLight Cyclerを用いた定量的RT-PCR解析から、PpAGP遺伝子群の発現プロファイルの解析を行った。その結果、接着ドメインとして知られているファシクリンドメインを有するPpFLA2が、オーキシンやアブシジン酸という植物ホルモンによりその発現が制御されていることが明らかとなった。この結果は、PpFLA2がヒメツリガネゴケの成長や分化、あるいはストレス応答に関与していることを示唆している。
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