2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04F04727
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土井 正男 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DAVID Head 東京大学, 大学院・工学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 複雑流体 / 高分子 / コロイド微粒子 / ゲル化 / 数値シュミレーション |
Research Abstract |
(1)ジャミングの研究: ジャミングとは、温度Oの系における、流動相とガラス相の転移である。これまで、剛体球に対して研究が行われて来たが、最近になって弾性球のジャミングが研究されるようになった。Head博士は、分子場近似により、ジャミングに対する分子場近似を提案し、計算機実験で得られたスケーリングの関係を説明した。また、Head博士は土井研究室で開発を行っているOCTAシステムを用いて、エネルギー最小化による弾性球のジャミング構造予測シミュレーションを行った。 (2)高分子膜の蒸発における弾性不安定性の研究: 高分子を含む溶液が蒸発してできる高分子フィルムの形状はインクジェットプリントなどの応用に関連して重要である。土井研究室では、濃度の高い高分子溶液が乾燥するきに、表面に乾燥膜ができるが溶媒蒸発の進行に伴い、液膜内部の圧力が減少するに伴い、膜が弾性不安定を起こすことを実験で見出していた。Head博士は、殻理論をもちい、この不安定性の理論解析を行った。とくに、弾性不安定の結果生じる種々の形状が現われる条件を明らかにした。 (3)セミフレキシブル高分子ゲルの研究: 高分子ゲルの変形メカニズムの解明は工学はもとより生体においても重要な研究対象である。これまで高分子ゲルの理論的研究は、自由に曲がる高分子鎖(ガウス鎖)の仮定の下での研究がほとんどであったが、多くの実在系では高分子鎖の剛直性が生み出す弾性的性質や構造を考慮することが重要である。Head博士は、曲げ弾性を持つ高分子のつくるゲルの弾性率を解析し論文を仕上げ発表した 以上の3つの仕事を論文に仕上げ発表した。現在は、弾性膜の変形を殻モデルに基づいて計算するプログラムを完成し、弾性不安定性が起こる条件をより詳細に調べている。
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