2004 Fiscal Year Annual Research Report
新しい吸着剤やイオン交換体を用いた自然水や排水中の汚染物質の捕獲法に関する研究
Project/Area Number |
04F04753
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
小松 優 金沢工業大学, 環境・建築学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KATHY A.Northcott 金沢工業大学, 環境・建築学部, 外国人特別研究員
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Keywords | MCM-41 / メソポーラスケイ酸塩 / カドミウムイオン / 鉛イオン / アセチルアセトン |
Research Abstract |
科学技術の発展に伴い工業排水中の重金属による水質汚染が問題となっている。そこで、高選択性を有する重金属イオン捕獲材の創成を目的とし、多孔質メソポーラスケイ酸塩(MCM-41)に着目した。MCM-41の細孔径は(2〜50nm)で触媒などとして用いられている。本研究ではMCM-41の細孔径に由来する金属イオンの捕獲挙動を検討した。 MCM-41は、水ガラス(ケイ酸ナトリウム溶液)と界面活性剤セチルトリメチルアンモニウム臭化物(CTAB)を原料として水熱合成反応を行い、その後窒素雰囲気で550℃1時間、さらに空気雰囲気で550℃焼成を行い合成した。金属イオンの捕獲実験は、硝酸と水酸化ナトリウムを用いて水相のpHを調整し、アセチルアセトンと金属イオン(Mn^<2+>,Co^<2+>,Ni^<2+>,Cu^<2+>,Zn^<2+>,Cd^<2+>,Pb^<2+>)を含む水相に、MCM-41を加え、固-液接触させた。固液分離後、水相中の金属イオン濃度は誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-AES)を用いて測定し、あわせて水相のpHも測定した。 MCM-41の比表面積値は1180m^2g^<-1>で文献値と一致した結果が得られた。また吸脱着等温線は、二段構造を示し筒状メソポーラス物質であることが示唆された。金属イオン捕獲率はpHが大きくなるに従って増加する傾向があることがわかった。またそれぞれの最大金属イオン捕獲率は、Cd^<2+>およびPb^<2+>で約95%以上、その他の重金属イオンは50%〜80%程度であった。さらにpH6.0においてはCd^<2+>,Pb^<2+>はほぼ95%以上捕獲されたのに対し、他の重金属イオンは50%ほどしか捕獲されていなかった。この結果から、MCM-41はCd^<2+>,Pb^<2+>に対して特に有効な捕獲材であると考えられる。 以上の結果からMCM-41は遷移金属イオン捕獲能を有し、さらにイオン半径の大きさの違いによって、重金属イオンの選択的捕獲分離へ応用できる可能性のあることが示された。
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