2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04F04762
|
Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
山内 正則 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIMOSANI A. 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 外国人特別研究員
|
Keywords | B中間子 / 小林益川模型 / 小林益川行列 / Vub / セミレプトニック崩壊 |
Research Abstract |
平成17年度は前年度に引き続きB中間子のセミレプトニック崩壊を用いて小林・益川行列の要素であるVubを模型依存性が少ない方法で測定することを目標に研究を行った。この測定は、ハドロン部分が特定できる場合(排他的セミレプトニック崩壊)および、ハドロンを特定しない場合(包含的セミレプトニック崩壊)の双方において可能であり、理論的不定性をできるだけ排除して測定を行うためには、両方の測定を同時に進めることが必要である。前者においては、終状態のハドロンとしてπ、ρ、ωなどの中間子を一個だけ含むような崩壊反応が測定可能であり、これらについての崩壊分岐比の測定データはこれまでに得られているが、測定可能なレプトンのエネルギー領域が狭いために形状因子の理論的不定性が大きく、Vubを精度よく決定するには至っていない。今後は、チャーム粒子からのバックグラウンドを正しく評価することによって、測定可能なレプトンのエネルギー範囲を広げることを目指したい。また包含的セミレプトニック崩壊の測定では、この崩壊の終状態におけるレプトン系のQ^2分布、ハドロン系の質量Mxの分布を力学的に許されるすべての範囲で測定することが肝要であるが、Mx>1.8GeVの領域でチャーム粒子からの寄与を排除することが困難であり、十分な測定に至っていない。今後の方針としては、力学的変数以外の事象の特徴、例えばチャーム粒子のバーテックス位置の情報を用いてこれらの混入を減らすことを試みたい。
|