2004 Fiscal Year Annual Research Report
温帯果樹の休眠芽における水チャンネル及びABA合成遺伝子発現に関する研究
Project/Area Number |
04F04768
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
弦間 洋 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GENI Carmem Zanol 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ニホンナシ / 休眠 / Redox / グルタチオン / endo-dormancy / 水チャネル遺伝子 / ABA生合成遺伝子 / AOX遺伝子 |
Research Abstract |
休眠の様相(低温要求性)が異なるニホンナシ‘二十世紀'‘豊水'‘幸水'を用い、休眠導入期から最深期(endo-dormancy)、さらには覚醒期・萌芽期(eco-dormancy)における混合花芽と葉芽、さらにはその枝上における着生位置との関係を精査した。現在、調査を継続中であるが、‘二十世紀'は導入が早く、また最深期に至るのも11月上旬であり、他2品種が11月下旬に最深期を迎えていた。また、‘豊水'発育枝上の混合花芽の位置と休眠の関係は、既に9月時点で頂部の芽による競合的抑制が基部の芽に及んでいた(para-dormancy)。‘幸水'ではそれほど顕著ではなかった。 一方、ポット植え‘幸水'樹を用い、人工気象室下で低温遭遇させない区と自然環境下で生育した区を設け、それぞれの休眠の様相を精査し、休眠芽内のRedoxの変化についてグルタチオンを指標として調査した。還元型グルタチオン(GSH)と酸化型グルタチオン(GSSG)の比は、処理開始後25日目までの状態でみると、混合花芽のりん片では人工気象室区で高いが、混合花芽自体のそれは自然環境区で高かった。葉芽・枝内のRedoxは両区に差異は認められていない。さらに休眠導入期の‘幸水'の枝の位置別の芽におけるRedoxは、基部ほどGSHレベルが多いことが認められ、‘豊水'同様para-dormancyによる差異があることが判明した。また、組織による違い、すなわち芽の基部組織と芽自体とでは前者でGSH/GSSG比がどの位置の芽でも低いことを明らかにした。恐らく、今後予定している水チャネル遺伝子、ABA生合成遺伝子、AOX遺伝子などの発現も部位特異的に認められるのではないかと推察している。現在、その分析のために15日間隔でサンプリングを鋭意進行している。
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