2005 Fiscal Year Annual Research Report
弦理論および量子重力理論における時空の形成を主に非可換幾何学の代数的側面から研究している。
Project/Area Number |
04F04777
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川合 光 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BAGNOOD Maxime 京都大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 弦理論の代数構造 / IIB型行列模型 / 時空のコンパクト化 / 一般座標変換 / large-N 理論 / 時空のトポロジー / 一般化された平均場近似 / 時空の生成 |
Research Abstract |
弦理論は、重力を含む統一理論の有力な候補である。現在、弦理論の非摂動論的な定式化が現在の重要な課題になっており、当研究室でも様々な研究がなされている。その有力な候補として、当研究代表者が共同研究者とともに提案したIIB型行列模型がある。この模型は一見シンプルに見えるが非常に豊富な物理を含んでいることが知られている。この研究課題では、2つの目標を達成するべく研究を進めた。一つは広く行列模型の数値解析を進め、時空が4次元にコンパクト化されていることを十分な精度で示すこと、二つ目は行列模型の解析的な分析を進め、重力および超重力の持つべき対称性が、行列理論模型の持つ対称性の一部として、どのように実現されているかを調べることである。これらの目標に向けて、当代表者は主に行列模型のサイドから行列を作る代数の中にどのようにして、一般座標変換をはじめとする多種多様な対称性が埋め込まれているかを調べた。一方、研究分担者は主に弦理論およびM理論のサイドから代数構造の解析を行った。一年足らずという限られた期間ではあったが、これらの二つのアプローチを比べることにより、いくつかの知見が得られた。一つの成果として、IIB型行列模型の経路積分には、10次元以下のすべての多様体が含まれており、この行列模型が時空のトポロジーも含めて、量子時空を記述していることがわかった。また、一般化した平均場近似に基づいた計算によって得られる4次元時空がかなり安定なものであることもわかり、今後の発展につながる感触を得た。今後とも、この共同研究を進めている所存である。
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Research Products
(1 results)