2004 Fiscal Year Annual Research Report
3次元氷結晶パターンのフェーズフィールド及び分子動力学シミュレーションによる研究
Project/Area Number |
04F04778
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
古川 義純 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SINGER Herman Marius 北海道大学, 低温科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 結晶成長 / フェーズフィールドモデル / 樹枝状結晶 / 分子動力学法 / クラスターコンピュータ |
Research Abstract |
過冷却水中で成長する氷結晶は、薄い円盤状成長から円盤の縁での界面不安定化の発生を経て、樹枝状成長へと時間発展する。このとき、結晶パターンは、三次元的に極めて非対称な構造(対称性の破れ)を持つことが明らかになっている。これは、界面張力の異方性と界面カイネティクスの異方性が同時に結晶のパターン形成に関与している典型的な系であるが、その形態不安定化とパターン形成の機構は十分解明されていない。 本研究では、フェーズフィールドモデルにより、氷のパターン形成数理モデルの構築を目指し、界面張力と界面カイネティクスの相互作用の仕方を明らかにする。また、過冷却水に不凍タンパク質を添加すると氷結晶のパターンがドラスティックに変化する。これは、タンパク質が氷/水界面に吸着して、界面での成長カイネティクスを変化させるためであるが、この機構を解明するため、界面でのタンパク質吸着の効果を分子動力学シミュレーションで明らかにする。さらに、フェーズフィールドモデルとの統合を図り、氷結晶のパターン形成機構を数理科学的に解明する。 過冷却水中での氷結晶成長の干渉縞画像データを再解析するための手法を開発した。この処理のために、パーソナルコンピュータ24台によりクラスターコンピュータの構築を実施中である。 また、フェーズフィールドモデルによる、氷結晶の三次元構造解析を実施するため、界面張力の異方性と界面カイネティクスの異方性をどのような数理モデルで表現するのが適当かを検討した。 一方、不凍タンパク質を含むか冷却水中で成長した氷結晶の画像データを解析るための新しいソフトの開発をおこなった。これにより、成長速度などの基本量を極めて短時間に高精度で解析することが可能になった。 2年度以降は、初年度(2004年12月から)に立ち上げた研究システムを利用して、フェーズフィールドモデルと分子動力学法によりシミュレーションを実施する。
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