2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04F04806
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松本 尚英 熊本大学, 理学部, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BREFUEL Nicolas 熊本大学, 理学部, 外国人特別研究員
|
Keywords | スピンクロスオーバー / 磁化率 / 結晶構造 / ヒステリシス / 水素結合 / 次元構造 |
Research Abstract |
末端にイミダゾール基を含む直鎖状多座配位子を用いた金属錯体の構造と磁性について研究した。目的の一つは三次元でキラリティのそろった分子を選択的に集積させる自然分掌の実現である。もうひとつはスピンクロスオーバー現象とキラリティを兼ね備えた分子群の創生である。 2-メチル-4-フォルミルイミダゾールと3,3'-(ジアミノプロピル)エチレンジアミンの2:1縮合物を直鎖状6座配位子として鉄(II)錯体を合成した。二つのイミダゾール部位のプロトンがついているタイプとひとつが脱プロトン化したタイプの錯体を合成した。プロトンがついているタイプの錯体のうちでは、過塩素酸塩について詳しく研究した。この錯体は5K幅の熱履歴を持つ急激なスピン転移を示した。磁化率、メスバウアー、熱容量分析でその詳細を明らかにした。結晶構造の温度変化を決定し、高スピン状態と低スピン状態では空間群が変化することを見出した。この変化と錯体分子にある飽和6員キレート環のコンフォーメーション変化が連動していることが明らかになった。この錯体は金属イオン周りの直鎖状配位子の巻き方によりキラル分子であるが、キラル集積されていない。 一方、モノ脱プロトン化錯体はイミダゾール-イミダゾレート間水素結合を形成してホモキラルな一次元鎖構造をもつ。しかし結晶構造ではC(clockwise)とA(anticlockwise)のホモキラル鎖が交互に配列したヘテロキラル構造(ラセミ混合物)となっていた。この錯体もスピンクロスオーバー挙動を示したが、熱履歴は示さなかった。
|
Research Products
(3 results)