2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ系の化学反応性と電子構造に関する量子化学的方法論の開発と応用
Project/Area Number |
04F04812
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
青木 百合子 九州大学, 大学院総合理工学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TIAN Wei Quan 九州大学, 大学院総合理工学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 金属クラスター / 非経験的分子軌道計算 / 密度汎関数法 / Elongation法 / シリコン表面 / 局所状態密度 / エンドグラフト重合 |
Research Abstract |
高精度非経験的分子軌道計算を用いて、金属クラスター(Pt6AuやAu6Pt)各種異性体や種々の分子構造を体系的に分類し、それぞれの構造と電子状態の関係について詳細な解析を行った。得られた安定構造に対して、構造とエネルギーギャップや状態密度、スピン多重度との関係等について系統的に調べ、金属クラスターの異なる構造に対する異なる機能物性の発現について検討を行った。一方、かご型クラスターとしてC_<50>,C_<100>等についても、クラスター構造と電子状態の関係について現在演算を行い論文に公表している。 一方で、電子状態の超高速オーダー(N)法の開発を行い、非経験的分子軌道法のレベルでGAMESSプログラムパッケージと結合している。本年はシリコン表面上での高分子吸着問題に注目し、実験的に合成されているエンドグラフト重合に対して、現在開発中のElongation法を適用した。Si(111)-(7×7)表面のunfaultedとfaulted halvesに対し、エチレン鎖やシリコン鎖が伸長していく過程をElongation法によって再現し、従来法との計算誤差が全エネルギーにおいて10-5a.u.原子あたり10-9a.u.というほぼ完壁な精度で得られることを示した。つまり、それまで高分子に対してのみ演算可能であることを示してきたが、2次元表面に対しても演算可能であることを実証した。さらに種々の吸着サイトに対して安定構造の探索および吸着エネルギーの評価をおこない、どのような表面上において、どのような高分子が吸着可能であるかについて電子状態の立場から知見を得ることができた。これらの演算を並列でも計算可能となるよう環境整備を行い、このような大規模系に対してはパラレルにより効率よく演算可能であることも確認している。
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