2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04F04852
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
伊藤 隆 独立行政法人理化学研究所, 微生物材料開発室, 先任研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ENACHE Madalin Iancu 独立行政法人理化学研究所, 微生物材料開発室, 外国人特別研究員
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Keywords | 好塩性古細菌 / Haloferax / 系統分類 / ルーマニア / 好アルカリ性 / rpo B'遺伝子 / 16S rRNA遺伝子 |
Research Abstract |
本年度は、前年度において分類学的研究の対象としたルーマニアの塩湖由来Haloferax属5分離株について新種としての妥当性を検討するためDNA-DNA相同性実験を行い、また好アルカリ性好塩性古細菌の系統学的関係を推定するためrpo B'遺伝子の塩基配列を決定し系統解析を行った。 DNA-DNA相同性実験では5分離株はいずれもHaloferax gibbonsiiの基準株と高い相同性を示した。しかし分離株とHaloferax gibbonsiiとは表現性状に差があることから少なくとも亜種レベルで異なるものと推定できた。 rpo B'遺伝子による系統学的解析では、新たに増幅プライマーの設計を行い、17株の好塩性古細菌株のシークエンスを決定した後に系統樹を作成した。rpo B'遺伝子の系統樹は概ね16S rRNA遺伝子によるものと良く一致していた。特に好アルカリ性菌と非好アルカリ性菌が混在しているHalobiforma属やHalorubrum属は16S rRNA遺伝子の系統樹と同様に一つのクラスターを形成しており、好アルカリ性(あるいは中性性)が二次的な環境適合の結果である可能性を示唆していた。しかしrpo B'遺伝子の系統樹では好アルカリ性のNatronorubrum属は二つのクラスターに分かれ本属が不均一であることを示した。また非好アルカリ性であるが異なる16S rRNA遺伝子が存在するために同遺伝子では系統学的位置の推定が困難であったNatrinema sp.XA3-1はNatrinema pallidumと比較的近縁であるものの独立した系統枝を形成した。以上のようにrpo B'遺伝子の系統解析は16S rRNA遺伝子と相補的に考察することで、好アルカリ性好塩性古細菌の系統分類にも有効であるものと思われた。
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