2004 Fiscal Year Annual Research Report
日本における地域住民の政治参加・市民参加に関する社会関係資本の論点からの研究
Project/Area Number |
04F04903
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池田 謙一 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RICHEY S.E. 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 社会関係資本 / 地域参加 / 社会参加 / 政治参加 / 制度と行動 |
Research Abstract |
本研究は、政治学・社会心理学における市民参加研究の1つの発展・応用形態として、地域通貨の社会的役割を実証的に検討するものである。日本の地方自治体ではすでに数百カ所でこの地域通貨を採用し、地域コミュニティへの関与を高め、地域参加・政治参加を促進することを意図している。例を挙げれば、地域特有の「貨幣」として、地域の集会等に参加した場合に参加者の「クレジット」に対して与えられる。この地域通貨は、本来なら円で支払うことが必要な地方公共団体等のサービスへの支払いに充てることができるものとなる。このことによって地域通貨政道はクレジットの獲得・利用を促進し、そのことで市民社会によい刺激を与えることが意図されている。このことを、「社会関係資本」の理論の視点から捉え直し、日本における市民参加を促進する要因を分析するために本研究は企画された。 具体的には、千葉県市川市において開始された地域通貨である「てこな」について、モニター参加者および一般市民に対して質問紙調査を実施した。モニター参加者については市当局から紹介された対象者に対し、一般市民に対してはランダムサンプリングされた対象者に対して調査票が配布された。こうして、「てこな」利用の要因が、どのような社会関係資本的要因によって規定されているのかを検討している。平成16年度末に調査は実施されているが、この結果に基づきつつ、平成17年度には同一対象者に対して再度調査を実施することで、1年のスパンをおいて地域通貨の利用度の高まりがどんな社会関係資本的・社会心理学的要因によって規定されているかをより因果的に検討し、かつその促進・阻害要因としての制度的な構図についても分析をする予定でいる。後者に関しては、比較の対象として福岡県北九州市においても、当地の地域通貨のヒアリング調査を実施しており、制度の異同という視点からも、地域通貨の効果を検討していくのである。
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