2005 Fiscal Year Annual Research Report
イノベーション・フローと技術レバレッジ-日本企業の東アジアでの直接投資
Project/Area Number |
04F04904
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
小田切 宏之 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NELSON P.A. 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | イノベーション / 新規企業 / ベンチャーキャピタル / 技術革新 |
Research Abstract |
企業のイノベーション戦略について、文献調査とケーススタディを実施した。イノベーションには「破壊的」なイノベーション、「非連続的」なイノベーションと「連続的」なイノベーションがあるが、企業が破壊的なイノベーションを実現するか、非連続的あるいは連続的なイノベーションを実現するかは新規企業設立、資金調達、労働資源配分などの企業や産業のシステムと深く関わっている。特に、流動的な労働市場やベンチャーキャピタルや新規資本市場を通じて新規企業の設立が用意であるような米英に代表されるような自由市場経済(LME)と、長期雇用や株式持ち合い、銀行と企業の結びつきなどを特徴とする日本やドイツのような調整型市場経済(CME)を比較すると、破壊的なイノベーションは前者では起きにくい一方で、後者では非連続的あるいは連続的なイノベーションが中心になる。こうした企業システムとイノベーションの関わりについて分析した上で、インターネット、携帯電話、デジタルカメラなどの産業における、イノベーションのケーススタディをおこなった。例えばLMEでは、ブラウザーを開発したネットスケープ社のような破壊的イノベーションのケースがあり、CMEのケースとしては、関連他産業において蓄積された技術資源を応用する形でイノベーションを起こし新規参入したデジタルカメラのカシオ社のように非連続的とみなしうるイノベーションが起きたケースもあることが分かった。この成果は国際ビジネス・アカデミー学会、国際経営研究フロンティアに関する第3回JIBS/AIB/CIBER/ERIM国際コンファレンス、戦略的経営学会で報告され、多くの関心を集めた。
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