2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J00027
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 哲史 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(SPD)
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Keywords | 数論幾何 / 局所体 / ガロワ表現 / ウェイト・モノドロミー予想 / P進一意化 / リジッド解析空間 / 志村多様体 / ラングランズ対応 |
Research Abstract |
私の研究の目的は,代数幾何学・リジッド解析学・表現論等の様々な手法を組み合わせて,P進一意化を持つ志村多様体の悪い還元の構造を解明し,そのコホモロジーと保型表現との関係を明らかにすることである. この研究の目的のために,本年度は,ドリンフェルト上半空間によるP進一意化理論や,さらにラポポート・ジンクによる一般化されたP進一意化理論の研究を行った. また,局所体上の半安定還元を持つ多様体上のアーベル多様体の族に対して,ウェイト・フィルトレーションの長さが最大の場合に,その族を特殊ファイバーの各既約成分に制限して得られるモノドロミー表現の像に関する条件下で,ウェイト・モノドロミー予想を示した.同様の結果は,定数層の場合には既に知られていたが,係数付きの場合に拡張することで,志村多様体から作られる久我・佐藤多様体のコホモロジーの研究において,重要な役割を担うものと期待される.この研究の副産物として,超特異還元を持つ素点に注目することで,アーベル多様体の部分多様体に関するマニン・マンフォード予想の特別な場合の簡単な別証明を得た. さらに,ハリス・テイラーによる単純志村多様体の悪い還元におけるハッセ不変量の研究を行った.モジュラー曲線のハッセ不変量は,モジュラー曲線の悪い還元の幾何学を調べるための基本的な道具である.本年度の研究で,私はハッセ不変量の高次元化を考察し,ハッセ不変量がアーベル多様体のp階数が下がる部分で消えることを示した.また,高次元特有の現象として,ハッセ不変量が単純志村多様体上の豊富な直線束の切断を与えることに注目することで,ある種の井草多様体の既約性・連結性に関する結果を得ることができた.
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