2005 Fiscal Year Annual Research Report
近現代インドにおけるヒンドゥー・ナショナリズムとRSS(民族奉仕団)
Project/Area Number |
04J00152
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中島 岳志 京都大学, 人文科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | インド / ヒンドゥー / ナショナリズム |
Research Abstract |
現代インドで大きな勢力となっているヒンドゥー・ナショナリズム運動について、特に草の根レベルの活動に注目して、研究を進めた。論文「ラージャスターン州-インド人民党の圧勝」(『インド民主主義の変容』明石書店、2006年)では、2004年に行われたインド下院議員選挙について、とくにラージャスターン州の動向に焦点を当てて、分析した。そこでは、ヒンドゥー・ナショナリスト団体RSSとその下部組織・サング・パリワール諸団体の活動の活発化、州の政権を担ってきた国民会議派に対する失望、BJP(インド人民党)による開発行政への期待などが複合的に絡まることで、南インド各州とは大きく異なる選挙結果が出たことを明らかにした。論文「都市祭礼のポリティクス」(インド北西部における都市型祭礼に関する文化人類学的研究報告書』国立民族学博物館、2006年)では、デリーにおける都市型祭礼の調査をもとに、消費主義とヒンドゥー・ナショナリズム勃興の潮流が、新たな祭礼を生み出していることを明らかにした。論文「ヒンドゥー・ナショナリズムの歴史」(『世界史体系-南アジア』2006年、山川出版社)では、19世紀末以降のヒンドゥー・ナショナリズムの歴史を概説しつつ、その運動の問題点を指摘した。著書『ナショナリズムと宗教-現代インドにおけるヒンドゥー・ナショナリズム運動』(2005年、春風社)では、理論研究・歴史研究・文化人類学的研究の3つのアプローチを導入し、ヒンドゥー・ナショナリズム運動の全体像を明らかにすることを試みた。他にも、現代日本のナショナリズム問題や東アジア共同体論に関する論考などを発表した。
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Research Products
(6 results)