2004 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル化時代のバンコクにおける構造変化とインフォーマルエコノミーの検証
Project/Area Number |
04J00170
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
遠藤 環 京都大学, 東南アジア研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | インフォーマルエコノミー / インフォーマルセクター / フォーマルセクター / グローバリゼーション / 都市貧困 / スラム / バンコク / 零細・中小企業 |
Research Abstract |
平成16年度は、インフォーマルエコノミー従事者を対象に、ミクロな実態調査を実施した。平成15年度(2004年1月〜3月)に質問表調査を実施した3つのバンコクのコミュニティ(サンプル数170世帯、約300人)を中心に、一部の職種に絞って、職業調査、ライフコースの調査(都市構造の変化に伴う職業の変化)、Value Chain分析、また補足としてコミュニティでの生活調査とインフォーマルエコノミーに関わる各関連政策の調査を予定していた。 前半期は、質問表未完成部分の修正、入力作業、職業調査の対象の絞込みと予備調査などを行った。ただし、調査地のひとつであり、一部ホームステイなどを通じて、参与観察を開始していたコミュニティが、4月の下旬に火災でほぼ全焼してしまった(約700戸)。そのため、5月〜6月は、インフォーマント(65世帯)やホストファミリーを中心に訪問し、火災後の仮住居や職業問題の現状を確認した。また、再建の過程で分裂をし、復興の兆しがなかなか見えないコミュニティを訪問し続けながら、インフォーマルエコノミー従事者の、都市生活における「住居」と「職業」問題のつながりの強さと、その脆弱性を、改めて課題として考えるに至った。したがって、「コストとリスクのマネージメント」とコミュニティ内格差(復興の際の回復状況の差として明確になる)に関して、インタビューを続けることとなった。平成17年度には、これらの点について、質問表調査をチュラロンコーン大学と協力して実施する予定である。(調査協力機関であるチュラロンコーン大学社会調査研究所とともに、調査設計の一部を、南部の津波の被災地でも応用する予定。) また、それ以外の調査コミュニティでは、職業に注目したライフコースの調査(ジェンダー差に注目)、生産関係の調査を継続し、国際会議、日本の学界などで報告するとともに、ジャーナルに投稿した。また、バンコクにおけるコミュニティ開発の変遷と住民組織、NGOの役割と関係の変化に関して、御茶ノ水書房から出版される都市経済に関する教科書の1章としてまとめる作業も行った(7月出版予定)。
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Research Products
(1 results)