2004 Fiscal Year Annual Research Report
近世日本における民間宗教者組織の研究-陰陽道集団を中心に-
Project/Area Number |
04J00179
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Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
梅田 千尋 京都大学, 総合博物館, 特別研究員(PD)
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Keywords | 陰陽道 / 民間宗教者 / 本所 / 散所 / 身分制 / 中近世移行期 / 奈良 |
Research Abstract |
本年度の主なテーマは、中近世移行期における身分秩序の変容と「本所」の生成との関連を解くことであった。その際問題となるのは、中世散所においてみられた呪術的職能民の分化・多層化が、近世の諸身分とどのように対応するか、或いは断絶するかという点であるが、こうした議論は未だ緒についたばかりである。かような状況において、数年来世界人権問題研究センターが進めてきた「散所」の共同研究に参加し、昨年度その成果の一端を発表したことで、上記の課題について一定の成果を得ることができた。(「綴喜郡北谷村」『散所・声聞師・舞々の研究』) また、身分編成における中近世移行期の断絶と連続という同様のテーマの探求において、中世寺社権門の影響が強く残った奈良を有望なフィールドの一つとして設定し、調査を進めている。具体的には、奈良暦師吉川家文書(国立歴史民族博物館所蔵)・興福寺一乗院文書(京都大学博物館蔵)の調査に関わり、史料の整理・解読を進めた。とくに、興福寺一乗院文書については、その目録作成といった基礎的な作業に関わることで、中世前期から近世までの組織像を通史的に解釈するという試みを進めている。こうした史料調査の成果の一端として、民間宗教者の一種である盲僧集団と彼らを組織した興福寺一乗院との関係についての中間報告を行った(世界人権問題研究センター研究第二部前近代班12月例会報告)。同時に、京都の朝廷周辺における動向も再検討するため、若杉家文書(京都府立総合資料館蔵)の調査も続行している。
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Research Products
(2 results)