2005 Fiscal Year Annual Research Report
近世日本における民間宗教者組織の研究-陰陽道集団を中心に-
Project/Area Number |
04J00179
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Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
梅田 千尋 京都大学, 総合博物館, 特別研究員(PD)
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Keywords | 陰陽道 / 民間宗教者 / 宮中行事 / 身分制 / 本所 / 盲僧 / 巫女 / 興福寺 |
Research Abstract |
本年度の主要な課題は、近世陰陽道集団の多面的性格を踏まえ、主に近世後期の陰陽道組織の展開について検証することであった。とりわけ、宗教的・呪術的側面と科学技術的側面の両側面について、相互に関連付けつつ、その展開を跡づけることを目標とした。そのうち、宗教儀礼としての実態については、特に諸階層間の陰陽道行事を比較することで、従来の近世陰陽道研究において不十分であった「宮廷陰陽道」と「民間陰陽道」との差異という問題に踏み込むことが出来たといえる。それらの成果は、8月の日韓宗教研究フォーラム第3回国際学術大会(韓神大学校)での口頭報告「近世日本における宮廷陰陽道の特質」(報告内容は報告集『宗教と儀礼』に掲載)と、10月の佛教史学会2005年度大会における口頭報告「近世陰陽道祭祀の性格-公家社会における陰陽道をめぐって-」(2006年度の『佛教史学』会誌に掲載予定)という形で発表した。前者では韓国の巫や風水師といった事例との比較を念頭に置いて、古代・中世の陰陽道史の流も踏まえた包括的な見通しを示し、後者では、中世の陰陽道祭祀との比較を中心に、近世公家社会における陰陽道の実態を明らかにした。 なお、科学技術史的側面との関連については、宮城県の岩出山地方の「安家神道」史料の調査を行い、天文学・和算及び神道と陰陽道の並行的な伝播の実態を明らかにするべく研究中である。 また、中近世移行期における宗教者身分編成の断絶と連続については、昨年度より引き続き、奈良をフィールドとした調査を進めている。本年度は、興福寺一乗院文書の調査により、論文「近世における興福寺大行事職の役割」を発表し、巫女・神楽集団や盲僧集団と彼らを組織した興福寺との関係を明らかにした。
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Research Products
(2 results)