2004 Fiscal Year Annual Research Report
メソスケール大気におけるエネルギーの分布と形成過程に関する研究
Project/Area Number |
04J00181
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北村 祐二 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | メソスケール大気 / 乱流解析 / パラメタリゼーション / 数値実験 |
Research Abstract |
今年度は主に高解像度領域モデルを用いて,総観規模スケールの力学的強制からの応答が惑星の回転にどう依存するかについての数値実験と解析を行った.その結果,回転がある場合については,観測で知られるようなエネルギースペクトルの-3乗則と-5/3乗則の両者が得られることが分かった.このことは,現実大気で見られるエネルギーの分布が大規模なスケールの運動からのエネルギーカスケードによって作られうることを示しており,重要な成果であるといえる.また,回転が弱くなるほど,水平波数空間でのエネルギー輸送が減少する一方で鉛直波数空間でのエネルギー輸送が増大する傾向があるという結果を得た.これらの成果の一部を2004年夏に開催されたAGU Western Pacific Geophysics Meetingで報告した. また,上に示した乱流によるエネルギー輸送が既存の乱流パラメタリゼーションによってどの程度表現されうるかの検証も本研究課題を遂行するにあたり重要な問題といえる.今年度は従来よく利用されてきたSmagorinsky modelを例に,その検証を試みた.高解像度モデルでは,波数空間内でのエネルギー輸送は局所的であることを反映して,パラメタリゼーションの影響は切断波数近辺に集中するのに対し,Smagorinsky modelでは広い波数領域で影響が表れるなどの欠点があることが明らかとなった.より広範なパラメタリゼーションスキームについての検証,およびその改善のための提案が今後の課題と言える.この成果については,2004年日本気象学会秋季大会にて報告した.
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