2005 Fiscal Year Annual Research Report
メソスケール大気におけるエネルギーの分布と形成過程に関する研究
Project/Area Number |
04J00181
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北村 祐二 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | メソスケール大気 / 乱流解析 / パラメタリゼーション / 数値実験 |
Research Abstract |
今年度は,昨年度に引き続いて高解像度領域モデルを用いて,総観規模スケールの力学的強制からの応答が惑星の回転にどう依存するかについて系統的に調べた.その結果,惑星回転がある場合には観測で知られるようなエネルギースペクトルの-3乗則と-5/3乗則の両者が大規模場からの強制のみから再現可能であるとの結論を得た.このことは,観測から得られる大気のエネルギー分布とその形成過程の原因を探る上で重要な結果であるだけでなく,乱流パラメタリゼーションの構築の見地からも,本研究の数値実験からエネルギー輸送過程を調べることの妥当性を示唆するものである.また,この研究成果の一部はGeophysical Research Lettersに掲載された. 一方で,今年度は球面浅水方程式系を用いて減衰性乱流の系統的な数値実験を行った.浅水方程式系は大気の発散性を表現しうる最も単純な系であり,乱流における重力波の役割を考察するうえで有効なモデルとなる.本研究では,アンサンブル実験を通して大規模場の形成に関する初期値依存性を調べるとともに,弱非線形モデルを併用して結果の解釈を試みた.その結果,波によって誘導される平均流加速は形成される大規模場の特徴を十分説明しうる一方で,重力波の役割は大規模場の形成にはそれほど重要ではないことが明らかとなった.しかしながら,重力波はより小さな水平スケールへのエネルギー輸送において重要な役割を担っており,小スケールでのエネルギー分布を議論する場合には無視することはできない.これらの成果について,国内外の学会・研究会において報告した.
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Research Products
(2 results)