2005 Fiscal Year Annual Research Report
バッファーガス冷却と光トラップを用いた冷却分子の生成とその応用
Project/Area Number |
04J00185
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Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
榎本 勝成 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 低温分子 / Yb / 光会合 |
Research Abstract |
本年度は旧受入研究者(百瀬助教授)の海外転出に伴い、新たな受入研究者(高橋助教授)の下で研究に従事した。研究の成果としては主に2つ挙げられる。一つは分子の新たな減速・捕捉方法の提案である。これは共振器で増強されたマイクロ波を振幅変調させることで、その中を飛行する分子に時間変化するacシュタルクシフトを与え、その際に生じる力を用いて分子を減速し、そのままマイクロ波のトラップに捕捉する方法である。この方法を用いることにより、これまで知られている減速法には適さない種類の分子の減速も可能になると考えられる。もう一つは冷却Yb原子を用いた光会合による分子生成の実験的研究である。レーザー冷却及び蒸発冷却によってYb原子気体を1μK程度まで冷却した後、光を照射することにより、原子対を分子状態に遷移させることができる(光会合)。この光会合に線幅の狭い異重項間遷移を用いることで、従来行われていた双極子許容遷移の光会合よりも高分解能な分光が可能になった。これまでに4種類の同位体でこの光会合を行い、それぞれの同位体間で見られる定性的な違い等について研究を行った。例えば、174Ybについてはd波衝突状態について光会合の効率が非常に大きく、これはd波状態の形状共鳴の存在を示唆している。また、核スピンを有する同位体については超微細構造の存在により光会合のスペクトルが複雑になるが、これに対して遷移選択則を導出してスペクトルの同定を行った。これらの成果に対し、1本の論文はすでに出版され、1本は投稿中、1本は執筆中である。
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Research Products
(1 results)