2006 Fiscal Year Annual Research Report
バッファーガス冷却と光トラップを用いた冷却分子の生成とその応用
Project/Area Number |
04J00185
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Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
榎本 勝成 京都大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 低温分子 / Yb / 光会合 / 散乱長 / フェッシュバッハ共鳴 |
Research Abstract |
今年度はひきつづき、極低温Yb原子を用いた光会合による極低温分子生成の実験的研究を行った。 レーザー冷却及び蒸発冷却によってYb原子気体を1μK程度まで冷却した後、光を照射することにより、原子対を分子状態に遷移させることができる(光会合)。今年度は174Yb原子について光会合を行い、電子励起状態の各振動状態に対する光会合の遷移レートから電子基底状態の散乱波動関数の形状を決定し、s波散乱長やファンデルワールス力の係数(C6)の値を高精度に決定した。また、2色の光会合光を照射して誘導ラマン遷移を起こすことで、原子の対を分子の電子基底状態に遷移させることに成功した。複数の同位体に対し誘導ラマン遷移を用いることで電子基底状態の最も浅い振動準位の束縛エネルギーを決定し、その値から各同位体のs波散乱長を決定した。また、電子基底状態のYb原子対は、どの同位体も同じ原子間相互作用を持つ。この特徴を利用することによって、Yb原子の安定同位体である7つの同位体のすべての組み合わせについてs波散乱長を高精度に決定した。また、近共鳴な光会合光を照射することにより、散乱波動関数に変化を生じさせ、s波散乱長を変化させる光フェッシュバッハ共鳴の実験を行った。異重項間遷移を用いることで、少ない原子数ロスの条件下で大きい散乱長の変化を示唆する結果が得られた。これらの成果に対し、1本の論文が投稿中、2本の論文が執筆中である。
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Research Products
(1 results)