2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J00189
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河井 伸介 京都大学, 基礎物理学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 場の理論 / 弦理論 / 量子重力理論 / 宇宙モデル / 可解模型 |
Research Abstract |
非自明な背景時空上における弦理論の研究は、初期宇宙やブラックホールといった対象について量子論的な考察を行う上で重要な手がかりを与えると考えられており、近年の理論高エネルギー物理学における主要なテーマの一つである。その基礎となる共形場理論を用いた曲がった、あるいはダイナミカルな背景時空上のD-ブレーンの研究は、弦理論の物理だけでなく、低次元物性物理等、きわめて広い分野の物理において理論的基礎を与えるものである。これに関し、本年度は主として次のテーマについて研究を行った。 まず、先年度に引き続き、c=1オービフォールド模型における境界のマージナル変形についての研究を行い、これを用いた時空の初期特異点の単純化された模型を提案した(E.Keski-Vakkuri, R.G.Leigh, S.Nowlingとの共同研究)。これは動力学的な時空におけるタキオン凝縮という近年盛んに研究されているパラダイムを具体的に単純な模型において実現したものである。この結果はすでに論文として発表されている。 次に、上の模型の場の理論としての厳密性を確かめるため、フェルミオン化法を用いた新たな定式化を行った。これは、物性物理における近藤効果を解析する手法を応用したものであり、任意のオービフォールド半径の場合の境界変形について正確な結果を与える。この結果は論文にまとめ、現在投稿中である。さらに、XY模型、ポッツ模型等、2次元スピン可解系におけるマージナル境界変形理論の応用について考察を行い、現在論文を準備中である。
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