2004 Fiscal Year Annual Research Report
格子QCDにおけるクォーク・グルーオン・レベルでのハドロン構造の研究
Project/Area Number |
04J00256
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Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
高橋 徹 京都大学, 基礎物理学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 格子QCD / クォーク / ポテンシャル / ペンタクォーク / マルチクォーク / 共鳴状態 / フリップ・フロップ |
Research Abstract |
「格子QCDにおけるクォーク・グルーオン・レベルでのハドロン構造の研究」の一環として、強い相互作用の第一原理計算である格子QCD計算を用いて、クォーク4体、5体における静的ポテンシャルの計算、ペンタクォークバリオンのパリティの決定を試みた。2003年のクォーク5体系と考えられるθ+(1540)の発見以来、多数(4体以上)のクォークを含む系への興味が集まっている。現在までにおいて、θ+(1540)の性質、量子数、狭い崩壊幅の起源についてはほとんどわかっておらず、理論的な研究の進展を待っている状況である。中でも、クォーク間ポテンシャルはクォーク多体系の性質に直結する非常に重要な物理量であることが予想されるが、その非摂動的な振る舞いを解析的に求めることは、現在においても非常に困難な問題として残されており、格子QCD計算を用いた解析が望まれる。申請者はクォーク4体、5体ポテンシャルの計算を行い、その結果、遠距離においてはクォーク同士がY型の結合点を複数持つフラックスチューブによって結合されている描像が非常によく機能することを突き止めた。また、近距離領域におけるグルーオン交換により引き起こされる力は、摂動論の予言と一致することも突き止めた。この時、フラックスチューブの組み替えである「フリップ・フロップ」も確認した。また、複数の演算子を用意し、相関行列を対角化することによってペンタクォークの質量を求めた。この時、核子とK中間子の散乱状態と区別するために、その質量の体積依存性等を調べることにより、共鳴状態と区別した。その結果は、スピン1/2、負パリティのチャンネルの閾値の少し上に共鳴状態があることを確認した。
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Research Products
(5 results)