2005 Fiscal Year Annual Research Report
格子QCDにおけるクォーク・グルーオン・レベルでのハドロン構造の研究
Project/Area Number |
04J00256
|
Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
高橋 徹 京都大学, 基礎物理学研究所, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 格子QCD / クォーク / ポテンシャル / ペンタクォーク / マルチクォーク / 共鳴状態 / フラックス・チューブ / フリップ・フロップ |
Research Abstract |
前年度に引き続き、「格子QCDにおけるクォーク・グルーオン・レベルでのハドロン構造の研究」の一環として、強い相互作用の第一原理計算である格子QCD計算を用いて、クォーク4体、5体におけるポテンシャルの計算、ペンタクォークバリオンθ+(1540)の研究を継続し、最終的なまとめを行い、論文誌への投稿を行い、掲載に至った(3報)。要旨は、 1)複数の演算子を用い、適切に状態を分離し、ペンタクォークのパリティの決定を試みた。この時核子とK中間子の散乱状態と区別するために、その質量の体積依存性等を調べることにより、共鳴状態と区別した。その結果、クエンチ近似の範囲内で、スピン1/2、負パリティのチャンネルの閾値の少し上に共鳴状態があることを確認した。(Physical Review D 71(2005)114509) 2)クォーク4体、5体ポテンシャルの計算を行い、遠距離においてはクォーク同士がY型の結合点を複数持つフラックスチューブによって結合されている描像が非常によく機能することを突き止めた。この時、フラックスチューブの組み替えである「フリップ・フロップ」も確認した。(Physical Review D 72(2005)014505,Physical Review Letters 94(2005)192001) また次の研究のステップとして、格子QCDを用いた核力の研究も開始した。 湯川秀樹の提唱した中間子論以来、核子間相互作用(核力)における中間子交換描像は、現象を非常によく記述し、多大な成功をおさめてきた。しかしながら、近距離領域での相互作用は中間子の自由度では記述できないクォークレベルの物理だと考えられ、クォークの従う力学である量子色力学(QCD)に基づいた核力の研究が望まれる。そこで、申請者は格子QCD計算を用いて、核力をQCDのレベルから理解すべく、現在、研究を進めている。
|
Research Products
(6 results)