2005 Fiscal Year Annual Research Report
回転球面上の境界付き領域における2次元流体運動の基本性質の解明
Project/Area Number |
04J00267
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
谷口 由紀 京都大学, 数理解析研究所, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 回転球面 / 円領域 / 西岸強化流 / 安定性 / ホップ分岐 / 局所不安定性 / 極冠領域 / 非線形定常解 |
Research Abstract |
回転球面上の境界付き領域が縦半球の場合、北半球で西風、南半球で東風になるような東西風強制項を加えた2次元強制運動の数値実験を昨年に引き続き行った。強制力が弱いと静止していた流れ場から定常で安定な3つのgyleから成る西岸強化流が形成され、強制力の大きさを増加していくと、解はホップ分岐で不安定化することを見出した。この分岐後の流れ場の振動部分の振幅は、一番北側のgyleの南西端で最大となり、つまり、振動振幅が局在化することから局所不安定性が発生していると考えられる。さらに、強制力を大きくすると、局所不安定性の発生域は一番南側のgyleの南西端にも出現し、異なる場所に振幅の極大を持つ高次不安定性が発生するといえる。この局所不安定性は流体が離岸する領域で発生していると考えられる。私は、また、強制関数を変えた場合についても同様な数値実験を行い、それぞれの強制関数の場合に強制力の大きさを変えると局所不安定性の発生域は空間的にも、周波数スペクトルでも分離できることを見出した。 また、北極海における循環と仕組みを理解するために活用されている、回転球面上の極冠領域内における流体運動を数理的に調べる研究も行った。先行研究では、2次元線形定常粘性流において厳密解が得られている。これに対し、私は、極冠境界上で対称な位置に流入口と流出口を与え、線形解対応する非線形定常解を数値的に求め、その解の周りの微小撹乱の時間発展を追跡して非線形定常解の線形安定性を調べている。この研究は現在も進行中であるが、線形不安定となるパラメータ領域において流れの非線形時間発展を追跡したところ、実際に北極海の表層で観測されているような時計回りの還流に似た流れ場を見出した。
|
Research Products
(6 results)