2006 Fiscal Year Annual Research Report
回転球面上の境界付き領域における2次元流体運動の基本性質の解明
Project/Area Number |
04J00267
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
谷口 由紀 京都大学, 数理解析研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 回転球面 / 円領域 / 西岸強化流 / 安定性 / gyre / 極冠領域 / 非線形定常解 |
Research Abstract |
海洋の風成循環を意識した2次元強制流体運動の数値実験を、回転球面上の流体領域が縦半球に限られる場合について行った。強制関数には、赤道で東風、中緯度で西風、極域で静止するような東西風強制を与える。このときの強制関数には、極値が3つ存在することから流体領域は4つのgyreに分かれる。このような4-gyre強制風に対して、強制力の変化に伴う流線パターンを観測し、流れの安定性を調べた。強制力が小さいと安定な西岸強化流が形成されるが、強制力が大きくなると定常な西岸強化流はホップ分岐で不安定化する。このときの局所不安定性の発生域は強制関数によらず同じであり、しかも内側2つの領域が特定の大きさの場合にのみ生じる。これは、3-gyre強制風(流体領域は北側から順に反時計回り、時計回り、反時計回り)の場合に、強制関数の形状に応じた流量が多い順に不安定化の発生域が変化する結果とは異なる。また、ベータ平面上における2-gyre強制風の場合には、安定な定常流はピッチフォーク分岐によって不安定化し、かつ、対称な形状は崩れるが、4-gyre強制風においては流れパターンの対称性は保たれることを見い出した。 また、北極海の循環と仕組みを理解するために活用されている、回転球面上の極冠領域内における流体運動の数値計算も行った。2次元線形定常粘性流については厳密解が得られているので、ここでは、極冠境界上の対称な位置に流入口と流出口を与えて非線形定常解を数値的に求め、その解の周りの微小撹乱の時間発展を追跡して非線形定常解の安定性について調べた。数値的に得た非線形定常解は線形解と形状が異なる。また、流入出量が増すと、定常な非線形解はホップ分岐で不安定化することがわかった。このときの不安定性は、流体が流入口から入り、極域付近の出口側で渦を生じる部分で生じることを見出した。
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Research Products
(6 results)