2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J00269
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
黒田 茂 京都大学, 数理解析研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | ヒルベルトの第14問題 / 微分作用素 / 付値 / Polynomial automorphism / tame generators problem / 不変式論 / アフィン代数幾何 / 多項式環論 |
Research Abstract |
ヒルベルトの第14問題に対する反例を構成するための独自の手法を精密化し,背後に潜む概念の本質を解明する作業に前年度から取り組んでいたが,反例の構成法に改良を重ね,徹底した一般化を行うことで,本年度前半中に反例が生じる仕組みの核心をほぼ突き止めることができた.その結果,当初想定していたよりもはるかに容易に反例を構成できることが分かった.そこで,より強力になった理論の応用を試みたところ,以下にあげるような幾つかの新しい成果が得られた.まず,有理関数体が部分体上代数的な場合のヒルベルトの第14問題の研究を行った.このような場合のヒルベルトの第14問題の研究はそれまであまり行われておらず,唯一知られていた反例も,私が以前,特別な形の局所冪零微分を利用して構成した3次元における反例だけだった.しかし,新たに強化された理論を用いることで,こうした場合の反例をより簡明かつ一般的に構成することが可能になり,体の拡大の構造とヒルベルトの第14問題の関係について幾つかの新しい結果が得られた.それ以外にもこの理論を応用することで,最大階数をもつ局所冪零微分で核が有限生成でないものの構成にも初めて成功した.こうした成果を国内外の研究集会などで発表し,関連分野の専門家と活発な意見交換を行った. ヒルベルトの第14問題に関するこうした理論では,体の付値と微分の概念が重要な役割を果たす.実はこの点において,私の理論はShestakov-Umirbaevによる多項式環の自己同型群に関する理論とつながりがある.そこで,両者を合併してより強力な理論を作ることを目指し,彼らの理論の本質を読み解く作業を行った.
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Research Products
(2 results)