2004 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物における重金属に応答した細胞内空胞系の誘導機構の解析
Project/Area Number |
04J00323
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
深尾 陽一朗 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | タンパク質蓄積型液胞 / 登熟種子 / プロテオーム解析 / シロイヌナズナ / MRPタンパク質 / 重金属イオン |
Research Abstract |
平成16年4月から8月にかけての研究成果 登熟期の種子は一時期に大量の種子貯蔵タンパク質を合成し、PAC小胞(Precursor-Accumulating Vesicles)を介してタンパク質蓄積型液胞に蓄積することが知られている。我々はこの蓄積機構を分子レベルにて解明すべく、シロイヌナズナ登熟種子からのタンパク質蓄積型液胞単離系の確立、およびMALDI-TOF MSを用いたプロテオーム解析を行った。この結果、これまでオイルボディにのみ局在する事が知られている数種のオレオシシタンパク質が同定された。これらの特異抗体を作製し、蛍光抗体法により局在を確認したところ、確かにタンパク質蓄積型液胞にもオレオシンタンパク質は局在しているという結果が得られた。現在、免疫電子顕微鏡法による局在解析を行っている。 平成16年9月から現在に至るまでの研究成果 9月よりスイス・チューリッヒ大学のDr.Martinoia研究室において、MRPタンパク質(multidrug-resistance related protein)の機能解析を行っている。MRPタンパク質は細胞内に存在する有害物質の耐性機構に関わることが知られている。特にこれまでの知見から、カドミウムなどの重金属イオン耐性機構に関わることが予想される、MRP1が属するサブファミリー(MRP1、2、11、12)の機能解析を行っている。すでにMRP1およびMRP2遺伝子が欠損したシロイヌナズナ変異体のホモラインを得ているため、これらをカドミウム入り培地で生育させ、野生型と比較したが、今のところ生育に優位な差が見られていない。MRP1とMRP2は相同性が非常に高く、互いに機能を相補する事が予想される。MRP1/MRP2の二重変異体のホモライン固定が本年度中に終了するため、本変異体を用いて表現型解析を行う。MRP1に蛍光タンパク質であるGFPを、またMRP2にはDsRedをC末端側に挿入したクローンを得たため、これらを野生型および変異体へ導入し、局在性の確認および相補性実験を行っている。MRP1は液胞膜に局在する事が知られているが、未だ明らかにされていないMRP2の局在性を知る事で、細胞内での両タンパク質の関連を解明したい。
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Research Products
(1 results)