2005 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物における重金属に応答した細胞内空胞系の誘導機構の解析
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04J00323
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
深尾 陽一朗 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | オーキシン / ABCトランスポーター / AtPGP4 / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
昨年度より、ABC(ATP binding cassette)トランスポータの機能解析を行ってきた。ABCトランスポータは、生体異物や内在性代謝産物を細胞質から細胞外、あるいは液胞内腔に排出していることが動物細胞で明らかにされてきた。一方、植物では129種のメンバーからなるスーパーファミリーを形成しており、これらのいくつかは単なる解毒機構の役割だけでなく、細胞の成長や発生段階において、様々な役割を果たす事が明らかとなってきている。本研究では、ABCトランスポータの1つであるAtPGP4{ABC transporters of the multidrug resistance (MDR)-like p-glycoprotein (PGP)4}の機能解析を行い、以下の解析結果を得た。細胞膜に局在するAtPGP4は、根形成初期段階においてのみ強く発現しており、シロイヌナズナatpgp4変異体の根を顕微鏡下で観察したところ、側根および根毛の数が野生型と比べて3〜4倍増加していた。側根や根毛形成がオーキシンによって制御される事は良く知られた現象である。また根におけるオーキシンの取り込み活性を測定したところ、atpgp4変異体では野生型と比べて低下した。さらにオーキシンを細胞内に過剰に蓄積することでオーキシン感受性変異体となっている酵母yap1-1変異体にAtPGP4を発現させ、オーキシン存在下において生育させたところ、コントロールとして用いたベクターのみを導入したyap1-1変異体と比較して、オーキシンに対する感受性がさらに上がった。以上の事から、AtPGP4が根形成初期段階においてオーキシン輸送を制御する事で、側根および根毛形成に重要な役割を果たしている事が明らかとなった。
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Research Products
(1 results)