2004 Fiscal Year Annual Research Report
フィトクロムB分子のN末端/C末端領域間の機能分担の解析
Project/Area Number |
04J00335
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Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
松下 智直 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | フィトクロム / 光形態形成 / シグナル伝達 / 細胞内局在 / 核移行 |
Research Abstract |
植物の主要な光情報受容体であるフィトクロムB(phyB)のポリペプチドは、発色団を結合し光受容に働くN末端領域と、二量体化に働くC末端領域の二つのドメインから成る。これまで長い間、様々な理由から、phyB分子はC末端領域からシグナルを伝達すると信じられてきたが、我々は、phyBのN末端領域断片を人工的に二量体化して核内に蓄積させると、phyBとしての完全な生理機能を果たし、正常なphyB分子よりも100倍以上高い光感受性を示すことを発見した。そこで本研究において、phyB分子がN末端領域から光シグナルを伝達する分子機構を解明する目的で、高い生理活性と光感受性を示す上記の人工phyB N末端領域蛋白質をシロイヌナズナのphyB欠損株において発現させ、その形質転換植物をEMSにより変異原処理し、遺伝学的解析を行った。約20万個体のM1植物に由来する少なくとも120万個体のM2植物の芽生えに対して、非常に弱い赤色光条件にてスクリーニングを行い、胚軸の徒長する変異体を多数単離した。それら変異体の解析から、これまでにphyB N末端領域内のミスセンス変異を16個同定し、また遺伝子外変異に起因する変異体を16系統単離した。16個のミスセンス変異のうち、phyB分子の光受容能に影響を与えることなくシグナル伝達能のみを失わせるものは6個あり、それらは興味深いことにN末端領域内の比較的小さな領域にホットスポットを形成した。この領域は、一部のバクテリオフィトクロムにおいて、タンパク質間相互作用に関与すると考えられるPASドメインとして認識されており、また変異が同定されたアミノ酸残基は、高等植物のフィトクロム分子において高度に保存されていたことから、この領域がphyBシグナル伝達に直接関与することが示唆された。
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Research Products
(2 results)