2005 Fiscal Year Annual Research Report
オートファジーにおける膜新生過程での脂質の役割の解明
Project/Area Number |
04J00398
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
濱崎 万穂 京都大学, 化学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | オートファジー / オートファゴソーム / 膜輸送 / 饑餓 / 小胞輸送 / ゴルジ / エンドソーム |
Research Abstract |
酵母を含む単細胞生物は常に飢餓を含む外的環境の影響を受けており、瞬時な対応の有無でその生死が分かれる。オートファジーは栄養飢餓の適応機構の一つであり、真核生物に広く保存されている。飢餓を感知した細胞は、オルガネラを含む自身の細胞質成分を非選択的に分解し、その分解産物を再利用して生存維持に必須なタンパク質を作り出す。その際に、オートファゴソームと呼ばれる脂質二重膜を2層もつ既存のオルガネラとは異なるユニークな構造体の形成がおこり、分解コンパートメントであるリソソーム/液胞に運ばれ大規模な蛋白質分解が展開される。オートファゴソームが饑餓時に細胞質でどのようにつくられるのか未だ謎が多い。オートファゴソームの膜動態は従来の小胞輸送系とは明らかに異なっており、どのように形成されるのか、膜は何に由来するのか等、まだ多くの謎に包まれている。私はオートファゴソーム膜の由来の同定を目指し、以下の研究を行った。 昨年度明らかにしたことの一つに、一部のオートファゴソーム膜に液胞膜が関与しているという知見がある。液胞膜の関与は脂質の供給を含めとても興味深い。液胞膜が細胞質に出来るオートファゴソームにどのように関与するのか、エンドソームから液胞への輸送経路がエンドソームから直接的にオートファゴソームにむかうのか、エンドソームから一端液胞に運ばれそれからオートファゴソームへと輸送されるのか、あるいは新しい経路であるか検証をした。その際に、輸送経路がコントロールされている変異蛋白質を用いて行った。この蛋白質は、変異によりエンドソームに留まるもの、エンドソームから液胞へと輸送されるものの液胞から再度輸送されることはなく液胞に留まるもの、エンドソームを介さずゴルジから液胞へと輸送された後にエンドソームを介してゴルジにもどってくるものとある。これらを駆使した実験結果から、エンドソームを介さず液胞膜へ輸送された蛋白質がオートファゴソームへと運ばれることが分かった。これは、液胞からオートファゴソームへの輸送経路が饑餓時に存在するのを示唆する結果であると同時に、既存のオルガネラ上にある蛋白質がオートファゴソーム上に存在し得ることを初めて証明する極めて重要かつ面白い発見であった。
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