2004 Fiscal Year Annual Research Report
白色腐朽菌によるリグニン分解機構の解明 -電子スピン共鳴法による研究-
Project/Area Number |
04J00404
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Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
大橋 康典 京都大学, 生存圏研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 白色腐朽菌 / Ceriporiopsis subvermispora / リグニン / ペルオキシラジカル / カーボンセンターラジカル |
Research Abstract |
実験1 選択的白色腐朽菌Ceriporiopsis subvermisporaは、木材腐朽の過程においてイタコン酸(IA)骨格を有する飽和・不飽和脂肪酸(ceriporic acid A、B、C)を分泌する。ceriporic acid B(1-nonadecene-2,3-dicarboxylic acid, NDA)はFe^<3+>の還元を抑制し、フェントン系における^・OHの生成を抑制するが、IAは^・OHの生成を促進した。これらのことから、NDAのFe^<3+>還元抑制効果はアルキル鎖の存在に起因すると予測される。本研究では、NDAよりアルキル鎖が短いUDA(1-undecene-2,3-dicarboxylic acid)を有機合成し、側鎖長の異なる三種のアナログ(NDA、UDA、IA)のFe^<3+>還元抑制能および^・OH生成抑制能を比較した。その結果、NDAとUDAは三価鉄に配位し、Fe^<3+>の還元および^・OHの生成を抑制した。一方、IAではFe^<3+>還元抑制、^・OH生成抑制ともに観察されなかった。以上、Fe^<3+>の還元を抑制する要因は、NDAのアルキル鎖の構造に起因すると結論付けられた。 実験2 C.subvermisporaによる選択的リグニン分解には有機ヒドロペルオキシドを介するラジカル反応が関与しているが、その過程でペルオキシラジカル(PR)、カーボンセンターラジカル(CR)の何れが分解に関与しているかは明らかでない。そこで、N_2通気系ではCRを、O_2通気系ではPRを生成するアゾ化合物を用いて非フェノール性リグニンモデル化合物(LMC)分解実験をおこなった。その結果、CR、PR発生系両方においてLMC分解が観察された。つまり、CRにはLMC分解能が有ることが分かった。一方、PR系においては、PR自体がLMCを分解したのか、PRの前駆物質であるCRがLMCを分解したのかは不明である。
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Research Products
(6 results)