2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J00482
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Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
村田 陽平 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ジェンダー / 空間 / 男性 |
Research Abstract |
今年度の研究実績は大きく以下の2点である。 1点目は,日本地理学会の専門誌「地理学評論」において,「岐阜県営住宅『ハイタウン北方・南ブロック』にみる空間とジェンダー」という論文を発表した。これは,男性によるジェンダー概念の誤謬が,現実の空間の構築においていかなる問題を引き起こしているのかという次元に注目したものである。具体的には,男性によってジェンダーの視点を導入して設計されたといわれる岐阜県営住宅「ハイタウン北方・南ブロック」を事例に検討した。総合プロデューサーの男性建築家,南ブロックの居住者,男性建築家に選定された7名の女性設計者,施工主の岐阜県,という4つのアクターから,この居住空間の実態を分析した結果,この空間は,ジェンダーの視点を踏まえたものというより,むしろその視点が問題にしてきた男性中心的な発想で生産されたものであることが判明した。このことは,空間論においてジェンダー概念に伴うポジショナリティの意味が,男性という主体に十分に把握されていない表れであり,その弊害が現実の空間においても表出していることを裏付ける。 2点目は,イギリスのグラスゴーで開催された国際地理学会第30回大会(The 30th Congress of the International Geographical Union)にて"Towards a reconstruction of male spaces : a case study on men's suicides and hikikomori in Japan"という発表を行った。これは,今日の日本の代表的な男性問題といえる「自殺」と「引きこもり」を事例にして,それらが男性の居場所の喪失に大きく関わっていることを空間的な視点から検討したものである。
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Research Products
(1 results)