2004 Fiscal Year Annual Research Report
ジェンダーの視点から見るプエルトリコの米軍基地と地域社会の文化人類学的研究
Project/Area Number |
04J00553
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮西 香穂里 京都大学, 人文科学研究所, 特別研究員(DC2) (90572389)
|
Keywords | 米軍 / プエルトリコ / 基地 / 軍隊 / ジェンダー / 文化人類学 / 女性 / 結婚 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ジェンダーの視点から、プエルトリコの米軍基地と地域社会についての分析を試みることである。その際、交際・結婚、売買春および反基地運動の3領域に焦点を当てる。 以上の研究目的にもとづいて、4月から6月にかけて関連文献のレビューを行い、アジアの軍隊研究会において報告した。 2004年6月末から9月中旬まで、プエルトリコ本島で調査を行った。プエルトリコ大学の図書館で、プエルトリコにおける米軍基地に関する文献調査を行った。 8月から現地調査を開始した。2004年3月に撤退が決まったルーズベルト・ローズ米海軍基地は、本島の東部、セイバという町に位置していた。この基地があったころは、米軍男性とプエルトリコ人女性との交際や結婚が数多く見られた。また、基地の街における経済の多くは、米軍基地に依存していた。そのため、基地撤退後の街は静まりかえっていた。 セイバの基地周辺の米軍を相手とする飲食店やストリップ・バーなどの営業者や従業員などに、基地撤退前と後の生活変化やこれまでの営業について聞いた。また、元基地内従業員であった女性からは、失業するまでのいきさつ、失業後の生活や基地撤退についての見解を聞いた。基地内従業員であった女性は、職を失い職安に通う日々をおくっている。米軍男性と結婚・交際していたプエルトリコ人女性にもインタビューを行った。基地の町で生まれ育ち、軍人家族から英語を覚えた女性や、軍人男性と交際したプエルトリコ人女性は、基地撤退について否定的であった。帰国後は資料の整理と、文献の読解を中心に研究をすすめた。 米軍基地と基地周辺の地域社会の関係は、政治的な視点で語られることが多い。だが、多くの地域住民が米軍基地にさまざまなかたちで関係している。以上から、さまざまな立場で米軍基地と関係する人々の視点から、米軍基地と地域社会を記述し、再考察する重要性が明確となった。
|