2004 Fiscal Year Annual Research Report
現代エジプトにおけるタリーカ(スーフィー教団)の調査
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04J00558
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Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
新井 一寛 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | タリーカ / 教団組織 / 宗教的感情 / 現代エジプト / シャイフの存在様式 / 近代化 / ジャーズーリーヤ・シャーズィリーヤ教団 / ティジャーニーヤ教団 |
Research Abstract |
2004年6月13日から2005年3月20日まで、エジプトにおいてタリーカの実態調査をおこなった。カイロに拠点をもつ約30のタリーカの実態を把握することができた。また、タリーカに関するアラビア語、英語文献を500冊以上入手することができた。研究成果の発表に関しては、以下である。 論文 1.「タリーカにおける組織的革新性と宗教的感情の発露-現代エジプトにおけるジャーズーリーヤ・シャーズィリーヤ教団の事例を通じて-」(『中東学会年報』2004年20巻1号)。 発表 2.「タリーカにおける組織形態とシャイフの存在様式の関係についての考察-現代エジプトにおけるティジャーニーヤ教団の事例を中心として-」(2004年日本中東学会第20回大会) 3.「Innovation and Religious Emotion in Sufi Orders : the Special Reference to Jazuliya Shadhuliya」(IAHR 2005 Tokyo) 1では、修士課程から持続的に調査をおこなっていたジャーズーリーヤ教団の実態を紹介した。この事例の分析結果から、近年注目されているタリーカの組織的革新性とタリーカにおける宗教的感情の関係を考察した。その結果、発展段階的・単線的な近代化論では、タリーカを十分に分析できないことを明らかにした。宗教的感情は、発展段階的・単線的な近代化論の観点からは、「前近代的」なものとして処理されるため、タリーカの重要な構成要素である両者の複合関係を考察することができない。2ではその考察を、ティジャーニーヤ教団を対象として試みた。その結果、両者の関係が、ジャーズーリーヤ教団と異なる事がわかった。2については現在『イスラム世界』に論文を投稿し査読中である。3では主に1の成果を英語で発表した。3については、英語論文を作成済みで今月中に投稿する予定である。
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Research Products
(1 results)