2004 Fiscal Year Annual Research Report
大気エアロゾルの雲物理過程を通した地球寒冷化効果に関する観測的及び数値的研究
Project/Area Number |
04J00598
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Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
梶野 瑞王 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 対流圏エアロゾル / 火山噴火に伴う二酸化硫黄放出 / 領域数値モデリング / 山岳地帯における大気質観測 / 火山噴火による環境酸性化 / 火山噴火による領域的寒冷化 / 凝結核形成 |
Research Abstract |
大気中の浮遊粒子状物質(エアロゾル)のうち特に硫酸エアロゾルなどの吸湿性エアロゾルは、雲凝結核として働くことにより、雲粒径を減少させ、雲の寿命を延ばすことにより間接的に地球を冷却化する作用を持つと言われているが、その効果の信頼度は低い。2000年7月以来三宅島は、アジア全域の人為起源放出量に匹敵する二酸化硫黄を火山活動により大気中に放出してきた。三宅島火山の噴火事例に関しては、その放出量が膨大であること、排出源の位置が明確であり、固定源で、さらに放出量が直接測定されている事から、人為起源の放出(排出源が広域に渡り不確定要素が高い)に比べて、現象の影響評価に適している。 16年度は、雲・エアロゾルの動態を広域的に把握する為のツールとして数値モデルの開発に取り組み、その適用性及び三宅島火山の噴火事例を詳細に見るために、三宅島起源の硫酸エアロゾルによる様々な環境変化に関する研究を行った。16年度はその酸性化効果に関する解析までにとどまったものの、これまで言われなかった新たな環境影響が明らかになった。火山性硫酸エアロゾルは、直接地表面に酸性沈着するのみならず、火山性の気塊においてアンモニア・硝酸・塩酸などのガス-エアロゾル分配が極端に変化させ、それにより、非火山性(主に人為起源)の硝酸・塩酸などの二次的な環境酸性化を促し、また、その極端に酸性化されたエアロゾル中では硫酸イオンは硫酸水素イオンとして存在していた、という事である。 17年度は、中部山岳地帯における八方尾根酸性雨測定所での長期にわたる詳細な地上エアロゾル観測結果や、東アジアにおけるモニタリングデータ、各種レーダーによる雲・エアロゾル観測結果、ならびに衛星による雲粒半径の解析アルゴリズムなどと、今年度開発してきた数値モデルを併用することにより、エアロゾルによる地球寒冷化効果の定量評価を行う。
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Research Products
(5 results)