2004 Fiscal Year Annual Research Report
大口径チェレンコフ望遠鏡を使ったステレオ観測による宇宙線陽子加速の研究
Project/Area Number |
04J00625
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Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
西田 大輔 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 高エネルギーガンマ線 / CANGAROO / ステレオ観測 / カニ星雲 / SN1006 |
Research Abstract |
オーストラリアに設置したCANGAROO-III天体サブTeV-TeVガンマ線望遠鏡の4台目が平成16年4月に完成し、空気シャワーの4台によるステレオ観測が行われるようになった。 非熱的X線が検出された超新星残骸SN1006の観測を5月に行い、現在解析中である。さらに、TeVガンマ線領域において唯一のキャリブレーション天体であり重要なカニ星雲の観測を、大天頂角で同年11月から行ない、解析を行った。その結果、有意に信号が検出できていることが分かった。また微分スペクトルを求めたところ、他のグループの結果とよく一致していた。現在はカニ星雲の解析結果をSN1006にフィードバックして解析を行っているところである。 これらの解析に加えて、同年12月に、データ収集システムの新しいトリガーシステムの導入を行った。これは、ステレオ観測中にリアルタイムで、宇宙線ミューオンや夜光によるバックグランド事象を効率的に除去することにより、より低いハードウェア閾値を目指すものである。 この新しいシステムで同年12月に、カニ星雲を観測した。従来のデータ形式と異なる部分があるため、それに対応した解析ソフトウェアの開発も行い、現在データを解析中である。観測時のトリガーレートから見積もると、カニ星雲の場合で、従来よりも200GeVほどエネルギー閾値が下がっていることが分かった。また、このトリガーシステムは、S/Nが良くなるので、データ量を軽減することができ、効率的な解析が行なえるようになった。 以上の結果を平成17年3月の物理学会で発表した。
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