2005 Fiscal Year Annual Research Report
K2K実験における新型ニュートリノ検出器を用いたニュートリノ振動現象の研究
Project/Area Number |
04J00637
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 真平 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ニュートリノ / ニュートリノ振動 |
Research Abstract |
時間発展によりニュートリノフレーバーが変化するニュートリノ振動現象はこれまでに太陽および大気ニュートリノ観測等で実験的証拠が得られている。レプトンフレーバー保存則を破るこの現象の研究は素粒子標準模型を超えた新たな物理またはレプトン生成機構解明へとつながる重要な研究である。私の行うK2K実験はミューオンニュートリノビームを用いた世界初の長基線振動実験であり、時間発展前後のフラックスおよびエネルギースペクトルの比較によりミューオンニュートリノの減少・電子ニュートリノの出現を探索する。ニュートリノ振動を記述するパラメータ(ニュートリノ質量の2乗差、フレーバー間の混合角)の高精度測定によってレプトンセクターにおける混合行列の解明を行うことが本研究の目的である。 まず、本研究課題の一つである新型ニュートリノの開発導入により、ニュートリノビームの生成時のエネルギースペクトルの精密測定に成功し、大気ニュートリノで観測された振動現象を99.997%の信頼度で実証した。 また電子ニュートリノ事象の出現確率を求めることにより、実験的に未だ上限値しか与えられていないニュートリノ混合角θ_<13>の測定が行える。この探索において、これまでは中性パイ中間子の崩壊事象の電子ニュートリノ反応事象への混入することにより探索感度を悪くしていたため、解析手法の改善によるバックグラウンドの削減とその混入量の定量的評価を行った。観測された電子ニュートリノ事象候補はバックグラウンドの見積もりと同等であり、有意な信号を得られなかったが、ニュートリノ混合角θ_<13>に対してこれまでより厳しい制限sin^22θ_<13><0.26(90%信頼度)を与えた。θ_<13>においてはこれまで原子炉(反電子)ニュートリノ用いた実験でしか制限を与えられていなかったが、今回K2Kで得た結果はこれらの実験結果と矛盾しないものである。
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