2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J00647
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
片山 郁文 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 量子常誘電体 / 光誘起相転移 / 誘電率 / タンタル酸カリウム / 発光 / 自己束縛励起子 / KTaO_3 / キャリアダイナミクス |
Research Abstract |
量子常誘電体タンタル酸カリウムの光励起状態における誘電率を、100Hz以下の周波数領域で測定し、光励起誘電率は従来のMHz領域の誘電分散と、0.1Hz領域の分散の二成分よりなることを明らかにした。これまで、光照射下の誘電率増大は電極の効果など、外因的なメカニズムによるものであるとする説が根強かったが、それに二つのデバイ型誘電緩和があることを示す事で、この誘電率が電極の効果のみでは説明できない事を示した。また、発光スペクトルや発光減衰を系統的に測定することにより、タンタル酸カリウムの光励起状態では、電子と正孔はほとんどの時間局在している事を明らかにし、発光はそれらが再結合した際に自己束縛励起子を生成してから放出されることも示した。また発光減衰は時間に対してべき乗の依存性を示し、低温では1ms程度の時間スケールでその指数が変化する事を明らかにした。減衰の温度依存性や、励起波長依存性からこの指数の起源を類推し、この指数を電子、正孔対の拡散を考慮することで説明した。ベキの指数の変化は、電子・正孔が局在的な性質から、遍歴的な性質へと変化する時定数を表している。また、このとき、指数が変化する時間の温度変化を測定すると、それは発光強度や光伝導などの温度変化の形状と非常に似ている事も分かった。この結果は、発光や光伝導の熱消光が、光励起キャリアが拡散的になる事と対応する事を示しており、光励起キャリアのダイナミクスを知る上で重要である。これらの研究により、タンタル酸カリウムの光励起状態では、分離した電子・正孔が誘電率に寄与している事を明らかにした。
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Research Products
(1 results)