2004 Fiscal Year Annual Research Report
都市火災の物理的延焼性状予測モデルの開発と防災性能評価システムとしての実用化
Project/Area Number |
04J00676
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
樋本 圭佑 京都大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 都市火災 / 延焼モデル / 火災リスク / 開口噴出気流 / 飛び火 / 延焼火災 / ゾーンモデル |
Research Abstract |
本研究では,市街地の火災安全性能に対する合理的な評価を行うため,都市火災の延焼性状を,現象の物理的知見に基づいて定式化した.延焼モデルは,建物内部の火災性状予測モデルと,建物間の火災拡大性状予測モデルの二つのモデルから構成される.このうち前者については,建物内の各室を火災性状の検査体積とみなすゾーンモデルを拡張したものを利用した.後者については,火源からの輻射熱伝達,火災気流による温度上昇,火の粉の飛散を延焼要因として考えた. なお,延焼モデルを構成する個別の現象については,開口噴出気流性状に関するサブモデルを区画模型実験の結果をもとに定式化した.また,火の粉の飛散性状については,正方形平板の飛散シミュレーションを数値流体力学的手法に基づいて行い,この結果をもとに相似則を導いた. 本延焼モデルの妥当性については,建物単体の火災性状を調べた既往の実験結果,ならびに酒田市大火(1976)での観測結果との比較を行うことで検討を加えた.このうち前者については,区画を隔てる扉や壁の燃え抜け時間を調整することで妥当な一致が得られた.一方,後者については,市街地において帯状の燃焼領域を形成しながら火災が拡大するとの定性的な傾向は一致する結果が得られたものの,延焼速度は全般的に過大評価された. さらに,ここまでに構築した延焼モデルを利用し,伝統的建造物群保存地区に指定される高山市三町地区を対象とした延焼シミュレーションを行って,市街地が有する火災リスクの評価を行った.伝建地区という性格上,火災安全性能を向上させるにあたって市街地の大規模な改変を加えることは困難であることから,建物の部材レベルの防火性能を向上させることで市街地全体の火災安全性能を向上させることを考えた.こうした場合の延焼シミュレーションを行った結果,市街地の火災リスクが低減される結果が得られた.
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Research Products
(1 results)