2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J00740
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤原 洋志 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | オンラインアルゴリズム / 競合比 / スケジューリング / スピードスケーリング |
Research Abstract |
モバイル情報機器の開発において、長時間のバッテリ駆動を実現するには、電力消費の効果的な制御が最重要課題である。プロセッサの高速化及び高密度化に伴い、単位面積あたりの消費電力は指数的に増大している。一方、電池に関しては大容量化が進んできているもののプロセッサの進歩と比べると追いついていないのが現状である。これを打破するための中核技術となっているのが、プロセッサ上での動的な動作周波数(スピード)制御である。例えばジョブが少ないときは低いスピードで処理すれば消費電力は抑えられる。ここで重要となってくるのがスピードスケーリング問題である。すなわち、総消費電力量を低く抑えるには、逐次投入されるジョブをどんなスピードで実行するのが最適な戦略であろうか。 我々は、総消費電力にジョブの総滞在時間を加えた量を目的関数とする新しいモデルを提案する。スピードスケーリング問題を議論するに際し、ジョブ投入から処理完了までの滞在時間も考慮すべき重要な要素である。従来の研究では、各ジョブにそれぞれ処理完了期限が設定され、これを入力の一つとして与えてきた。しかしながらモバイル機器の上ではジョブの終了に関しては通常、最大努力が原則であり、明確な完了期限は与えられないのが普通である。我々のモデルでは、ジョブの滞在時間をコストに組み込むことにより、電力量と時間のトレードオフを解決することが可能である。 我々は、単位時間当たりの消費電力量と総滞在時間の増分に着目し、これらの比をある一定の比に維持するバランシングアルゴリズムを設計した。解析の結果、このアルゴリズムが最悪評価において有界な競合比を持つことを証明した。一方、その競合比の下界を与えるジョブ列を発見し、解析がほぼタイトであることを示した。我々はさらに詳細を詰めた上で、結果をまとめて学会誌に投稿する予定である。
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Research Products
(2 results)