2004 Fiscal Year Annual Research Report
次世代移動通信における大容量高速伝送に向けたCDMA方式用無線信号処理技術の研究
Project/Area Number |
04J00742
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
矢野 一人 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | DS-CDMA / 非線形干渉キャンセラ / 空間ダイバーシチ / アダプティブアレーアンテナ / 結合受信機 / レプリカ重み制御 / 伝搬路推定誤差 / 干渉抑圧 |
Research Abstract |
DS-CDMA方式における高精度他局干渉抑圧の実現に向けた,アレーアンテナを用いた空間信号処理技術と非線形干渉キャンセラとの結合受信機の特性改善法に関する研究を行った。 非線形干渉キャンセラは、干渉波の受信予測値(レプリカ)を生成し受信信号から減算することにより他局干渉を抑圧する。しかし、レプリカに誤りがある場合はその減算により干渉増幅が起こり、非線形干渉キャンセラの特性が劣化する。 この特性劣化の軽減手法として、レプリカに干渉除去抑制係数(CMF)と呼ばれる1以下の正数を乗積する方法が知られており、これまで仮判定誤りの影響を軽減するためのCMF制御法が検討されている。 しかし、アレーアンテナと非線形干渉キャンセラとを結合する場合、仮判定精度はアンテナ数の増加に伴い改善するが、伝搬路値に関しては各アンテナ毎に推定するため、その精度はアンテナ数に依存しない。従って、結合受信機では伝搬路推定誤差がレプリカ生成誤りの主要因となる。 そこで、本研究では伝搬路推定誤差を考慮したCMF制御法を2種類考案した。一方は各干渉波の伝搬路推定値の平均二乗誤差(MSE)をレプリカの信頼度とし、信頼度の高いレプリカに大きなCMFを与える。もう一方は各干渉波のSINRを変数とした線形関数を用いてCMFを計算する。後者はMSE情報を必要とせず、また前者よりも演算量が少ないため、より実装に適している。 両方式を結合受信機に適用した場合のビット誤り率特性を可変拡散率DS-CDMA上りリンクおよび指数減衰5波レイリーフェージング伝搬路を仮定した計算機シミュレーションにより評価した。結果より、拡散率に対するシステム負荷が1.25の場合、両提案方式はほぼ同等の特性を示し、また従来方式およびCMFを固定した場合と比較して同一誤り率に対する所要送信電力を0.1〜1dB程度軽減できることを明らかにした。
|
Research Products
(1 results)