2004 Fiscal Year Annual Research Report
リポタンパク粒子表面の膜構造変化による代謝調節と動脈硬化の発生
Project/Area Number |
04J00770
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Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
森田 真也 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | セラミド / マイクロドメイン / スフィンゴミエリン / スフィンゴミエリナーゼ / アポリポタンパクE / リポタンパク / エマルション / 動脈硬化 |
Research Abstract |
近年、血漿スフィンゴミエリン(SM)濃度の上昇は、動脈硬化の進行と関連し、冠動脈疾患の危険因子であることが提唱されている。スフィンゴミエリナーゼ(SMase)は、リポタンパク中のSMを分解し、セラミドを生成させる。動脈硬化病変部から単離したリポタンパクは凝集しており、SMおよびセラミドを多く含んでいる。SMaseによりできたリポタンパク粒子中のセラミドは、マイクロドメインを形成し、粒子表面の疎水性部位として粒子同士の凝集と融合を導くと考えられている。また、動脈硬化病変部において、マクロファージが産生したアポEはリポタンパクに結合している。そこで、SMやセラミドを含むエマルション粒子を用いてアポEとセラミドリッチドメイン間の相互作用について調べた。SM含有エマルション粒子のSMaseによる凝集は、アポEにより阻害された。また、セラミド含有エマルションはSM含有エマルションと比べて、アポEの結合が増加した。次に、セラミドリッチドメインの存在を確認するために、2種類の蛍光プローブ、BODIPY-PCとDiI-C_<18>を含むエマルションの共焦点顕微鏡による観察を行った。BODIPY-PCは流動相に、DiI-C_<18>はゲル相に分布しやすいことから、粒子中の相分離を検出できる。その結果、セラミド含有エマルションでは、DiI-C_<18>は粒子コアから表面にわたる塊状の分布を示し、BODIPY-PCは粒子表面でDiI-C_<18>と分離するように分布した。このことから、エマルション粒子中のセラミドは三次元のマイクロドメインを形成していることが明らかになった。また、SMase処理による三次元セラミドリッチドメイン形成の誘導も確認された。以上のことから、アポEは粒子表面のセラミドリッチドメインに結合しやすく、それにより粒子の凝集や融合を防いでいることが示唆された。
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Research Products
(2 results)