2004 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ構造を有する電子・光応答性インテリジェントポリマーの合成とその物性評価
Project/Area Number |
04J00810
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
飯田 和則 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | リビング重合法 / ラジカルイオン種 / ラジカル種 / 一電子酸化・還元 |
Research Abstract |
申請者はこれまで有機テルル開始剤を用いたリビングラジカル重合系を開発してきた。本年度の研究課題・目標は、これらの方法論を生かして電気・光化学的な応答性を持つポリマーを合成することであった。しかしながら、これまで開発を行ってきたリビング重合法は分子量の制御されたポリマーを与えるものの、用いる有機テルル重合開始剤の毒性などが問題となっていた。従って本年度は、本来の課題に先立って、新たにリビング重合系の設計に取り組んだ。 一般に、中性の分子を一電子酸化・還元すると対応するラジカルイオン種が生じる。これらラジカルイオン種のうち、多くのものは不安定であり、特定の結合が開裂して対応する中性のラジカル種とイオン種が生じる。従って、これらラジカルイオンを反応性の高いラジカルやイオン種の前躯体として用いるなら、新しい活性種の生成法、また新しい重合開始系となりうると思われる。 具体的には、最も簡便な系として有機ケイ素化合物をラジカルカチオン前躯体として選び、これを金属酸化剤によって酸化した。生成したmラジカルカチオンからは、結合開裂を伴って中性のラジカル種が生成し、モノマーの共存下において検討すると実際に重合が効率よく進行した。これは酸化的な活性種生成の検討である。一方、4級アンモニウムカチオンを還元し、活性種を発生させ、これを重合開始剤として検討することも同時に行っており、実際にポリマーが得られることを確認している。これらの方法の利点はこれまで開発を行ってきた重合開始剤と違い、毒性の高い試薬を用いる必要がない点である。
|