2004 Fiscal Year Annual Research Report
精製ABCAIを用いたコレステロール排出機構の解明
Project/Area Number |
04J00841
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Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
高橋 圭 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ABCA1 / Sf9 / purification / ATPase / Apolipoprotein A-I / HDL |
Research Abstract |
ABCA1発現ウイルスを作製し、昆虫細胞Sf9に感染させABCA1が発現した膜画分を得た。膜画分を、タンパク質の変性作用がほとんどないと考えられるNaClによって膜表在性タンパク質を除いた後、ドデシルマルトシドによってABCA1を可溶化しNi-NTAアガロースで精製した。精製純度は約60%であったが精製ABCA1はATP加水分解活性を有し、脂質に依存したATP加水分解活性を示した。続いて、細胞からの脂質排出活性が消失するABCA1K939M変異体とK939M,K1952M変異体の発現ウイスルを作製し、野生型と同様の方法で精製しATP加水分解活性を測定した。これらの変異体はいずれも著しくATP加水分解活性が低く、また脂質によるATP加水分解活性の誘導も掛からなかった。さらに野生型ABCA1のATP加水分解活性が植物性脂質よりも動物性脂質で強く誘導されることが分かり、現在リン脂質の種類や脂肪酸、ステロールの選択性の解明に向けての研究を精力的に進めている。 高密度リポタンパク質(HDL)はアポリポタンパク質A-I(apoA-I)が脂質を包含することによって形成される。これまで、apoA-Iの脂質包含動態の解析について、in vitroの実験系では物理化学的なアプローチが主であり得られる知見に限りがあった。今回、精製ABCA1にapoA-Iを添加し反応させることでapoA-Iの構造が変化し、HDLのサイズに達するまでapoA-Iに脂質が受け渡されている様子が観察され、またABCA1とapoA-Iが直接的に相互作用することが明らかとなった。これらの結果から、精製ABCA1を用いた再構成系の研究をさらに進めることによってHDL新生反応メカニズムの解明に大きく貢献できることが期待される。
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Research Products
(4 results)