2005 Fiscal Year Annual Research Report
硬結性骨化症原因遺伝子の骨形成シグナル抑制作用機構の解明
Project/Area Number |
04J00923
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
楠 直樹 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 硬結性骨化症 / BMP / Sclerostin / 骨形成 |
Research Abstract |
硬結性骨化症(Sclerosteosis)は骨硬化(骨芽細胞の機能亢進)を主症状とする遺伝疾患であり、Sclerostin(SOST)はその原因遺伝子として同定されたものである。本研究において、Sclerostinは細胞外でBMP(骨形成タンパク質)と直接結合してそのシグナルを阻害するBMPアンタゴニストであることを明らかとした。そして、SclerostinはBMPの中でもBMP6に対する特異性が強いことを示した。しかしながら、硬結性骨化症が重篤な疾患であることやBMP6ノックアウトマウスが顕著な表現型を示さないことなどから、SclerostinがBMP6のみをターゲットとしている可能性は低いと考えられた。そこで、他のBMPについてSclerostinのターゲットとなる可能性を検討した。その結果、Sclerostinと高い結合性を示し、またSclerostinと同様に軟骨領域には発現せず骨膜など骨芽細胞分化に関与する部位に特異的に発現するといった発現パターンを示すBMPは特定されなかった。 一方で、Sclerostinとの関連が期待される新規遺伝子を単離・同定した。培養骨芽細胞MC3T3-E1におけるRT-PCR法やマウス胎児頭蓋骨におけるin situ hybridization法により検討した結果、この遺伝子は骨芽細胞の未分化な時期から分化初期にかけて強く発現していた。さらに、MC3T3-E1細胞を用いて検討した結果、この遺伝子は骨芽細胞の分化指標のひとつであるアルカリフォスファターゼ活性を特に骨芽細胞分化の初期段階において抑制することが示された。
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