2005 Fiscal Year Annual Research Report
筋細胞が分泌するパラクリン因子による脂肪細胞分化調節機構の解明
Project/Area Number |
04J00958
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平井 静 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 筋細胞 / 脂肪細胞 / パラクリン因子 / アクチビン / マイオスタチン |
Research Abstract |
<マイオスタチンがウシ脂肪前駆細胞分化に及ぼす影響> マイオスタチンはTGF-βファミリーに属する因子であり、主に筋肉で発現し筋肉成長を抑制すること、また3T3-L1脂肪前駆細胞の分化を抑制することが報告されていた。そこで本研究では、マイオスタチンがウシ脂肪細胞分化に及ぼす影響を検討した。脂肪細胞分化に重要な転写因子の発現パターンは、ウシ脂肪前駆細胞と3T3-L1脂肪前駆細胞とで異なっていた。しかし、マイオスタチンは3T3-L1脂肪前駆細胞における報告と同様に、PPARγとC/EBPαの発現低下を介してウシ脂肪前駆細胞分化を抑制し、また、この分化抑制作用は、マイオスタチンの結合タンパク質であるホリスタチンによって阻害されることが明らかとなった <アクチビンがウシ脂肪前駆細胞分化に及ぼす影響> 昨年度の研究結果より、マイオスタチンと同じTGF-βファミリーに属するアクチビンは、3T3-L1脂肪前駆細胞の分化を抑制することが明らかとなった。そこで今年度は、アクチビンがウシ脂肪前駆細胞の分化に及ぼす影響について検討を行った。その結果、アクチビンもマイオスタチン同様、ウシ脂肪前駆細胞の分化を抑制し、ホリスタチンとの共添加によりその抑制効果が回復することが明らかとなった。また、ホリスタチンをウシ脂肪前駆細胞に単独添加したところ分化促進作用が認められた。さらにウシ脂肪前駆細胞はアクチビンおよびマイオスタチンを発現していることも確認された。このことから、ウシ脂肪前駆細胞で発現しているアクチビンまたはマイオスタチンが、通常状態ではその分化を抑制している可能性が示唆された。 以上の研究より、生体内においては、筋細胞や脂肪細胞から分泌されるマイオスタチン、アクチビン、およびホリスタチンのバランスによって筋肉内脂肪前駆細胞の分化が制御され脂肪交雑形成に関与している可能性が示唆された。
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