2004 Fiscal Year Annual Research Report
膜動態におけるGP2/THPファミリーの細胞生物学的機能に関する研究
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04J00977
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 謙一 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | GP2 / THP / GPIアンカー型タンパク質 / 膵臓腺房細胞 / 腎臓 / thick ascending loop of Henle / エキソサイトーシス / チモーゲン顆粒 |
Research Abstract |
Tamm-Horsfall Protein(THP)の機能を遺伝子構造の点から解析するために、マウスTHPゲノム構造の解析を行った。その結果、マウスTHP遺伝子は、7番染色体(7F1領域)に存在しており、11エキソンから構成され、そのすぐ下流に同じく11エキソンからなるマウスGP2遺伝子が、わずか2.5kbの間隔で隣接して存在することを見出した。すなわち、THP遺伝子とGP2遺伝子は、元々1つの遺伝子が遺伝子重複によって進化してきたことが示唆された。THPとGP2の起源が同一であることから、両分子は、構造上のみならず機能上の類似性があると考察した。また、両遺伝子が近接しているために、GP2ノックアウトマウスでは、マウスTHP遺伝子に影響を及ぼしているかも知れないと考え、THP発現を確認した結果、遺伝子レベル及びタンパク質レベルで正常に発現していることが確認された。次に、マウスTHP遺伝子の5'非翻訳領域と腎臓のイオン再吸収細胞であるthick ascending loop of Henle(TALH)細胞特異的なナトリウムイオントランスポーターであるマウスNKCC2のプロモーター領域を比較した結果、極めて高い相同性があることが判明した。そこで、マウスTALH細胞において、THPとNKCC2が機能上密接に関連していると推察した。 また、THPの凝集メカニズム及び遊離機構を構造学的観点から明らかにする目的で、遊離型THPの結晶化を試みた。その結果、沈殿剤に塩化ナトリウムや硫酸アンモニウムを用いた場合、全く結晶が得られなかったものの、PEG8000を沈殿剤として用いた場合、X線結晶解析実験にはまだ不十分な大きさではあるが、微細な結晶が形成された。このことから良質な結晶を得るための必要な基礎条件が示された。
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