2004 Fiscal Year Annual Research Report
シトクロムP450酵素が制御するブラシノステロイド代謝機構の解明
Project/Area Number |
04J00979
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大西 利幸 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Brassinosteroid / Cytochrome P450 / 植物ホルモン / 酵素化学 / GC-MS / 昆虫細胞発現系 |
Research Abstract |
ブラシノステロイド(BR)は植物の生長、分化、形態形成、光応答において重要な役割を担っている。BR生合成・代謝経路の多くのステップに膜結合型シトクロムP450(P450)酵素が関与していることが生化学的研究から推定されているが、これら多くのP450酵素の活性について未同定である。本研究はBR生合成・代謝経路を酵素学的に解明することを目的とし、BR生合成・代謝を担うP450酵素をin vitroで発現し、その基質および代謝物の構造の同定を行った。 BR生合成・代謝変異株から単離されたP450遺伝子の相同性解析を行った結果、BR生合成に関わる可能性の高いP450がCYP85ファミリーに分類されることを見出した。そのファミリー上で相同性検索、進化系統樹解析を行った結果、トマト由来新規P450遺伝子であるOYP724B2を選抜し、cDNAクローニングを行った。その結果、CYP724B2はCYP90Bファミリーと高いアミノ酸相同性を示すことが明らかとなった。また昆虫細胞-バキュロウィルス発現系を用いCYP724B2組み換え酵素を発現させ、酵素活性について検討を行った。CYP724B2は、BR生合成経路上流に位置するcampesterol,24-methylcholestane-4-en-3-one,24-methylcholest-3-one, campestanolを基質とし、BR側鎖22位を水酸化することをGC-MS分析により明らかにした。さらにCYP724B2の相対活性はcampestanol,24-methylcholest-3-one,24-methylcholestane-4-en-3-one, campesterolの順に高く、BR早期22位水酸化経路の存在を示唆した。以上のようにBR生合成に関与する新規P450遺伝子をクローニングに成功し、その酵素活性を解明することに成功した。
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