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2005 Fiscal Year Annual Research Report

悪の克服の可能性を開くための哲学研究-ポール・リクールの思想を手引きとして-

Research Project

Project/Area Number 04J01027
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

山内 誠  京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)

Keywords宗教哲学 / 悪 / リクール
Research Abstract

本研究の目的は、「悪の克服の可能性」の問題を、主にポール・リクールの哲学を参照軸として明らかにすることにある。そのリクールの悪論は、思想的な系譜において、カントからジャン・ナベールにつながる根元悪の問題系に属している。したがって、研究は、必然的にカントおよびナベールの悪論の研究を含むことになる。それらの比較・対照という方法によって、必ずしも明らかではないそれぞれの悪論の特徴を浮かび上がらせ、またそれを通して「悪の克服の可能性」という問題を考察する。これまでの研究の成果として、まず一つにそれらが共通して悪の経験のあるパラドクス的な性格を巡って動いていることが明らかとなった。それは、悪とは、そのつど新たに犯されるものでありながら、同時に、つねにすでにそこにあるものでもあるという性格である。悪のもつ、この奇妙な時間性ないし歴史性こそ、カントの言う根元悪の謎に他ならず、またナベール及びリクールの思考がその周りを巡っているものに他ならない。これは、悪の問題のアポリアの核である。つまり、それによって、悪の問題は理論的、思弁的には解決不可能なものとなっている。にもかかわらず、三者は、三様の仕方で、このアポリアに答えようとしている。つまり、悪のアポリアは、思考にとっての単なる袋小路をなしているのではなく、むしろさらにより思考するようにと思考を促す。そのような思考の向かう先に、悪の克服について論じるための場所がある。そこで重要な問題として浮かび上がってきたのが、「赦し」の問題である。以降の研究では、カントにおいては無視されているこの問題を、ナベール及びリクールに即して明らかにすることが課題となるだろう。

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Published: 2007-04-02   Modified: 2016-04-21  

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